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VOL8.「おもしろおかしく」精神を実感
 「おもしろおかしく」 -堀場製作所の社是でもあるこの言葉は、創業者堀場雅夫氏の生き方そのものだと感じました。今回、当プロジェクトのインタビュアーを務めさせて頂いた私は、それを肌で実感しました。インタビュー当日、初めてお会いした堀場雅夫最高顧問は長めの白髪を後ろで束ねた、茶目っ気のある方でした。
 やはり堀場さんの凄さというのは「研究者魂」であり、「どういう状況でも活路を見つける」という事だと思いました。京都大学在学中に起業されたということで、学生ベンチャーのはしりとも言われている堀場製作所ですが、そもそも起業しようと思ってしたわけではないとおっしゃいました。
 原子核物理の研究を行っていた堀場氏は、終戦時にアメリカが研究材料をすべて封鎖・廃棄してしまったため、研究に行き詰まります。それは核物理の研究を禁じるアメリカの方針から来たものでした。そこで諦めるのが通常の状態でしょう。しかし堀場さんは「では大学でできないなら一軒家を借りて卒論を書こう」という発想で堀場無線研究所(堀場製作所の前身)をスタートさせます。文字通り、研究所がスタートだったのです。次なる困難は資金繰りでした。大学なら電気代も払わなくても構いませんが、自前の研究所なので電気代も必要になってくる。稼がないと実験も出来ない。そこで堀場さんは停電灯の製作を考えます。戦時中は電池を作っていましたが、終戦で戦争用の電池が無用の長物になる。それをタダで分けてもらい、電池に組み上げて整流器をつけて販売する・・・これがヒット商品となります。モノがないと言われていた時代にモノを作り付加価値を付ける。困難な状況もものともせず、楽しんで挑戦してみる。その精神が、今の堀場製作所にあると感じます。
 あっという間の2時間のインタビュー。楽しいお話を終えたとき、堀場さんがおっしゃいました。「隣で用意しているしお昼食べましょう」と。撮影スタッフを含め食事をご用意してくださり、美味しい京都の地酒を頂きました。京都市内で唯一、日本酒を製造しているという蔵のお酒です。とてもまろやかで美味しく、素晴らしいお酒でした。そのことを堀場さんにお伝えすると、こう一言。「お酒も喜んで飲んでくれる人いたら嬉しいわな。人生こういう楽しい時間が必要なんや」と。周囲の人も「おもしろおかしく」と思わせる堀場さんのホスピタリティ、素晴らしい考え方であり、「おもしろおかしく」の精神で堀場製作所はますます発展されることと思います。
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