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VOL3.「なぜ液晶だったのか?」シャープ・辻相談役へのインタビューに思う
 「 辻相談役(シャープ元社長)に直接お伺いできるかもしれない…。」それは、教育推進プログラムの「 企業家の戦略的役割」のプロジェクトがなければ、実際には考えもしないことでした。担当の経営戦略の授業でシャープのケースを扱ってきた自分には、ずっと知りたいと思っていたことがありました。経営学の教科書などで、ドメインについての例として、シャープはよく取り上げられています。そのような本では,「シャープは、オプトエレクトロニクスというドメインを打ちたて、その中でも特に液晶に注力した」と書かれています。しかし,「なぜ液晶を選択したのか」ということについては、どの書物にも納得のいく説明はされていなかったのです。「なぜだったのだろう?」と長い間気になっておりました。
 そのような私に、辻相談役に直接お会いしてインタビューするという機会が巡ってきたのです。辻相談役は、シャープが液晶を事業の柱にするという方向性を打ち出したときに社長でいらっしゃいました。このような機会はまたとないと、液晶をトピックにインタビューさせていただくことにしました。ずっと知りたかったという経緯がありましたので、シャープ本社でのビデオ撮影をしながらのインタビューは、どこか夢を見ているようでもありました。
 「なぜ液晶だったのか」ということへの答えは、ぜひケースをお読みいただければと思います。実際の戦略的意思決定のプロセスを詳しくお伺いしてみますと、「液晶を事業の柱に育てる」という決定は、いくつかの段階を踏んでなされていました。言って見れば一言で話せるようなものではないといった面もあります。そのためか、相談役は事情に詳しくない方との対談記事などでは、「なぜ液晶か」ということについて「シャープは以前から電卓で液晶をやっていたので…」などとお答えになっています。そんな説明のほうが納得してもらいやすいということかもしれません。ただ、今回は授業用のケースですので、もっと本質的で詳細な説明をしていただきたいと思っておりました。辻相談役は関学の卒業生でいらっしゃいます。そこで、「母校のケース作成のためにも…」と懇願しましたところ、決定の詳細なプロセスにまで踏み込んでお話くださいました。私が積年の疑問を解くことができましたのは、辻相談役が関学のご出身だったことと無関係ではないのかもしれません。ご縁というのは不思議なものと、本当に心より感謝しております。
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