トップ
プロジェクト概要
企業家ライブラリー
企業家コラム
プロジェクト実施体制
プロジェクト活用科目
シンポジウムレポート1
シンポジウッムレポート2
ケース・ダウンロード
 
企業家コラム
VOL4.「御売商業機能の人格化」株式会社大西・大西隆会長へのインタビューに思う。
 今回、大西隆会長と3度にわたりお話をさせていただく機会をもてましたことは望外の幸せでした。1回目と2回目の会話は、事前に質問表をお渡ししており、しかもビデオ撮影がなされている中でのインタビューでしたので、3回目の食事をしながらの会話は、学生諸君や私自身に取りましても心に残る一時となりました。大西会長に感謝申し上げます。以下は私事で恐縮です。
 私の学問の出発点は商業経済論でした。学会でのデビュー戦は26歳のときでした。発表のタイトルは、「商業の自立化と市場メカニズム」であったと記憶しております。発表後の質問で、猛烈な勢いで噛み付いてこられた先生がおられました。「佐藤さんにとって、商業とは実体のないものなのですか? 商業の機能についてはふれておられますが、商人はどこに存在しているのですか? 商業者の実態をあやふやにするような商業論が存在する理由はなんですか?」と、矢継ぎ早に訊かれたと記憶しています。頭が真っ白になっていたのでしょう。どのように質問に答えたのか定かではありません。
 気が付くと、学会の若手の先生方が、私の報告内容を弁護してくれていました。いずれにせよ、「すごい世界に身を置くことになったものだ。心して研究に精進しなければ」と、そのときに肝に銘じました。それ以来、私は、商業による市場メカニズムの作動というマクロ的側面と商業者の具体的な行動や戦略といったミクロ的側面が交錯する局面に研究の関心を持ち続けてきました。恥ずかしながら、有斐閣から1989年に出版しました『商業学』は当時、商業学のベストセラーの教科書になりましたが、そのなかで私は「小売商業の機能と構造」と「卸売商業の機能と構造」を担当させていただきました。共著者の石原武政先生は現在では本学商学部の教授です。もう1人の池尾恭一先生は元助教授でした。
 今回、大西会長とお話させていただいて、従来の機能論に終始していた「商人」無視の商業理論の限界を突破できるような気がしました。大西会長のお人柄の中に、卸売商業機能の人間的な部分が垣間見えたように思えたからです。今後、もっと追究してゆきたいと思います。デビュー戦で、私に商人研究の意味を考えるきっかけを提供してくださったのは、今回の大西チームでご一緒させていただきました中西正雄名誉教授でした。関西学院との縁を感じずにはおられません。
PREV NEXT