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甲南大学で研究員の奥野が講演会『「復職者のための人事評価制度』を行いました

2018.07.12     研究


甲南大学には、BI (Business Innovation)研究所があり、年間を通じてBI講演会が行われます。7月12日には、第1回BI講演会の第1部で研究員の奥野が講演をしました。テーマは、「復職者のための人事評価制度」です。今回は、社会に出る前の学部学生が主な聞き手です。産休や育休どころか、働く経験さえない人にこのテーマを伝える事を工夫する必要がありました。

そこで、まずは基本賃金調査をもとにした男女の賃金格差から話を始めました。正規男女、非正規男女の賃金カーブを描けば、正規男女の賃金格差は明らかです。これまで学校の場やアルバイト先でも明らかな格差を感じなかった学生は、このカーブをみて愕然とした様子でした。Conference Presentationどうしてこのような男女間の賃金格差が生じるのでしょうか。講義では、8つの点からその原因を説明しました。

正規・非正規の賃金格差も、学生にとっては大きな驚きのようでした。途中で離職すると正規従業員としては復職しにくいこと、また非正規として働き続けると生涯年収に1億円以上の差が出てしまいます。一方で、正規従業員のうち、8割が育児休業を取得すること、またそのうちの9割が復職することを確認しました。子供ができても働き続けることは当たり前になりつつあります。この事実を踏まえ、容易に離職しないこと、そのためには、国や企業がワーク・ライフ・バランス施策に取り組まなければならないことを話しました。

最後に、育休産休からの復職者の人事評価の問題です。短時間勤務による復職者についての「二重の減額問題」と、質の高い仕事を配分してもらえないという「仕事の配分問題」について説明しました。

一生懸命に学び、意気揚々と社会に出る学生が働き続けることのできる会社、社会であって欲しいと心から願いつつ、復職者の人事評価についての研究を続けていきます。