イノベーション実現指向 MOTプログラムの開発 関西学院大学専門職大学院 経営戦略研究科MOTプロジェクト  協力)社会連携センター
MOTとは
MOTプログラム
プログラム開発概要
事例研究
プログラム受講生
シンポジウム
IBATOP
事例研究
今回のMOTプログラムで開発した4つのケース教材について
 
1.テクノロジー・マネジメント 製品開発事例研究 3.アントレプレナーシップ 4.マーケティング戦略
 
 
玩具銃の販売から社会貢献を目指した新製品開発へ
シャープ株式会社 過熱水蒸気オーブン「ヘルシオ」
 
シャープ株式会社が、2004年秋に発売したウォーターオーブン「ヘルシオ」は、「水で焼く」というキャッチフレーズで、10万円という価格にもかかわらず1カ月の売り上げが2万台に達する大ヒットとなった。ヘルシオは、過熱水蒸気を使った画期的な家庭用オーブンであるが、その開発の成功までには大学や研究機関との連携や数多くの技術的な問題の解決が必要であった。
シャープの家電事業は企業を支える屋台骨であったが、AV製品が主力になるに連れて、企業内での地位は低下していった。1998年頃には既に売上比率が20%を切るまでになっており、特に「白もの」と呼ばれる冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどは市場が飽和し利益が上がらない商品となっていた。
そこで、電化商品開発センターから過熱水蒸気による調理器の開発が提案された。過熱水蒸気での調理では油を使わないため、無駄な油の摂取を避けることができ、各種の栄養素も壊れないなど、優れた点の多い調理方法であった。
しかし、電子レンジのメーカーとしてはトップメーカーであり、30%のシェアを獲得していた事業部では否定的な意見も大きかったが、電子レンジの中核部品であるエレクトロンを外部からの供給に頼っていたこともあり、この技術に賭けてみることになった。
商品開発は2003年中に順調に進んだが、問題は100Vという日本の家庭電化製品で十分な加熱が難しいことであった。その問題は300℃の水蒸気を効率的に食品に吹き付ける技術を開発することで乗り切ることに成功した。
何よりも健康、環境というキーワードで家電事業全体を立て直そうとする、現経営陣の強い意志があり、この製品はコンセプトがぴったりであった。マーケティング手法として大学との連携を謳い、そこで得られた知見に基づいて過熱水蒸気による調理の利点が消費者に訴求された。
ヒアリング調査の結果、より詳細な経緯が明らかになってきており、発売された2004年9月から2005年5月までで10万台を販売したヒット商品となったこの製品が、市場に出されるまでの全経緯とその後の改良を含めた包括的なケースとして価値のあるものとなるだろう。
Pagetop
本プログラムは経済産業省による「技術経営人材育成プログラム導入促進事業」の支援を受けています。