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公演3


 1993年に「21世紀型企業とはどんな企業か?」という調査を経営者・一般社員を対象に行った結果、「事業創造を通じて社会の多様な問題を解決することによって、収益性と社会性を両立する企業」とする回答が多数でした。私はそれを社会貢献型企業(ソシオ・ダイナミクス企業)として、1994年、21世紀型の企業の典型として提唱しました。
 また、この研究をベースに企業家と連携して社会貢献型企業を、アクション・リサーチを通じて創造しました。その実例として、環境共生型住宅供給システムがあります。人工林の間伐材に着目して、北海道林業の活性化と環境共生型の住宅を供給システムとして開発することを目的に、HOP(ハウジングオペレーション梶jを設立。ユニバーサルデザインを採用し全ての人々が快適に生活できる健康住宅の提供、リサイクル促進可能な新工法や新金物の開発などを手がけました。今では全国に支店を設置して年間30億円の売上をあげ、NPO法人「森をたてようネットワーク」と連携して環境保全に対する取組みを強化しています。この活動を通じて私は社会企業家というのは、事業を創造するだけでなく、社会的な問題を解決する枠組みをつくる人たちも企業家であると考えるようになりました。
 社会企業家の戦略的意義としては、1)事業の創造によって社会的問題の新たな解決法を提示し、社会性と収益性の両立の可能性を示す、2)社会的イノベーションの意義を示す、3)若者、女性、高齢者に活躍の舞台を提示する、4)新たな社会システムの可能性を提示して、経済活性化の道を示す、5)働き方と生き方を一致させる新しいライフスタイルを提示する、等があります。そして、社会企業家の特徴は、1)社会的ミッションを持ち、社会的問題解決に動機づけられ、リーダーシップを発揮している、2)イノベーションによって社会的問題を解決し、収益を確保している、3)NPO、企業、行政体など多様な組織との連携、4)ビジョンを説得的に語り、共感を得て人を動かすストーリーテラーであること、だと言えます。しかし課題として、社会的イノベーションのためのインフラ整備が重要であり、また昨今のソシオダイナミクス企業の買収という現象によって、社会性がどう変貌するかも考えていかなければなりません。

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