トップ
プロジェクト概要
企業家ライブラリー
企業家コラム
プロジェクト実施体制
プロジェクト活用科目
シンポジウムレーポト1
シンポジウムレーポト2
ケース・ダウンロード
 
シンポジウムレポート2


参加者からのQ&A
Q 1.
関西は東京に比べると、情報・資金などあらゆる面で起業しにくい状態が続いている。今の大阪、関西が「こうすれば何とかなる」と言う事を教えて欲しい。
A 1-1. 定藤繁樹(関西学院大学教授)
  大阪の電力会社など地域に根ざした会社には、その中で新しい企業家や産業を育てるという意識があります。ガス会社のやっている京都の大規模インキュベーターには300社近い企業家が集まっており、そういった中から、あるいは大学などと提携しながら集積効果が出ています。ベンチャーキャピタルも来る。銀行も来る。ビジネスとして成り立ち得る仕組みが形成されています。これを官がやるとまず失敗するので、もうかる仕組みを作りながら、そういったものを作っていく。関学のビジネススクールからも企業家が出るでしょうし、大学がもっとアメリカのような仕組みをつくる。大学の収益という点もあるのでしょうが、ソーシャルな意味合いで大学は機能できるから、地元の企業や行政が協力しながらやっていく。その仕組みを作ったらどうかと思います。
 
Q 2.
社会企業家についてコーポレートガバナンスという話があったが、それは資本の論理が働かないからという意味でよいのか。
A 2-1. 金井一ョ(大阪大学大学院経済学研究科教授)
  基本的に社会性と収益性の両立は難しい。やはりどちらかに偏ってしまう。その辺をどうやって基本的に担保するかが一番のポイントです。トップはどうしても社会性に行きますから、そこをきっちり見た上で担保しながら、逆に言うと収益性をきちんと図れる人がいないと。自分が例えば技術系の大学発ベンチャーだと言った時に、一番弱いのがマネジメント能力、アドミニストレーション能力。ベンチャーを行う人は、そういう弱い人、弱いところを知っていて大企業などを連れてくるのだけれども、実はこの辺はわがままなので、結果として駄目なことも多い。最終的にベンチャー企業のオーナーという人たちは大企業と違ってパワーを持っていますから、ガバナンスをどう取るかということを自ら意識しなければなりません。例えば顧問として誰かを入れるとか。社外重役を入れるのもいいでしょう。自分の弱みを補てんして、収益性と社会性のバランスを取れるようにするという意味でのガバナンスが、必要だろうと感じます。
 
Q 3.
私は某電気会社で海外の責任者をやり、その後ある大学で指導していた。その大学は産学共同プロジェクトがスタートして当初だいぶ盛り上がったが、最近どうも下火になっている。大学側から見て、その原因は何か。また企業サイドにどんな問題があるのか。
A 3-1. 定藤繁樹(関西学院大学教授)
 

大阪の某大学は30億円のファンドを持っています。大学の先生方がベンチャーをやる場合、マネジメント人材がないということで非常に苦戦されています。もともと企業家がいないところに無理矢理にプロジェクトを作ってそこにお金をはめ込んで、というケースも問題があります。私も中国の科学者と一緒に神戸でベンチャーをやっています。光ファイバーを敷設して非破壊検査を作っているのですが、我々は大学の中にインキュベーションに入るとか、大学の先生方の新しい技術を引っ張ってくる。そうするとほとんど費用なしで新しい技術を移植してもらえる。そういう意味合いでは、まだ大きな可能性が残っている。たくさんの成功事例よりも、特色のあるような成功事例を1つでも2つでも作っていくことが重要です。

 
Q 4.
大学で企業家を育成できるのかどうか。教育というもので企業家を輩出できるのかどうか。例えば、MBAで企業家教育はできるのか。
A 4-1. 橘川武郎(一橋大学大学院商学研究科教授)
 

MBAの卒業生を対象としたある調査によると、結果的には満足度は非常に高い。会社に戻って出世もしている。ところがMBAの資格は何も役に立たない。専門職というよりはリベラル・アーツ的な能力、ものを読む・議論をする・人を説得する・話し方がうまくなる。そういうところが効いて個人の力になって、結果的に出世につながっているというメカニズムがあると思います。ですから教育のプログラムはもっと改善の余地はあると思いますが、そのMBAの仕組みというのは、今のところそういう点で意味があるのではないかと思っています。

A 4-2. 金井一ョ(大阪大学大学院経済学研究科教授))
 

私は基本的に教育そのもので人は変わらないだろうと思っていて、その人たちが何か思いを持っているかどうかというのが大きい。しかし、こうする時にどうするというのはやはりあるので、その点でMBAが役に立つだろうと思います。
 もう1つ重要なのはパッションで、パッションを持つと何か話したくなる。語りたくなる。誰かに共鳴を得たくなる。私は必ず現場に連れて行ってやります。だから私もアクション・リサーチの在り方を学んでいるし、実は企業家もその場で学んでいる。私の持っている経営戦略論とかのスキルを現場の中でどうトライできるか、コンテキストの中でどう生きるかということを現場で見られる。そして彼らもその中で自分のやっていることは実際どうなのかチェックできる。企業家というのは結局スタンドアローンで寂しい。そこでサポートできる部分があるのではないか。

 
▲上へ戻る
PREV