トップ
プロジェクト概要
企業家ライブラリー
企業家コラム
プロジェクト実施体制
プロジェクト活用科目
シンポジウムレポート1
シンポジウムレポート2
ケース・ダウンロード
 
シンポジウムレポート1
総括コメント


 企業家とはどのような人なのかということについて、これまでさまざまな研究が行われています。女性が企業家的ではないと言われた時期もあれば、日本人は企業家精神が乏しいとも言われました。ハングリー精神のあるマイノリティー(アメリカ社会における黒人や日本における在日朝鮮人など)が企業家として成功するという説もありました。しかし、私は性別や出身階層、民族等の出自よりも、むしろ、何かをやりたいという強い志を持てるかどうかが企業家としての鍵になると考えています。
  エリック・バーンが提唱したパーソナリティを心理学的に分析する「交流分析」という研究があります。ある人の言葉・行動・表情などの情報を分析し、「(1)支配的な親、(2)養育的な親、(3)理性的な大人、(4)自由な子供、(5)順応した子供」という5つの自我状態(個人がとる心理的立場)に分類しますと、その中で、自我状態が「自由な子供」が非常に企業家に特徴的と言われています。
  企業家の思考の特徴は、新規性ないし独創性の追求とリスクへの挑戦にあります。企業家の発想には、いきなり結果から洞察する「アブダクション」という推論過程が特徴的に見られます。「自由な子供」というのは、価値観や周囲の状況に捕らわれず、自分が感じるまま話し行動するのですが、それがアブダクション推論になるわけです。
  一般的に、創造のプロセスには、最初にアブダクションによって仮説の形成をし、それから演繹的推論で仮説を一般化し、帰納的推論で仮説を検証していくという3段階のプロセスがあると言われています。その中のアブダクションのところが企業家の人の特徴的な思考のパターンです。要するに、最初にアブダクション、つまり自由な子供のような自我状態で直感的に結果を洞察し、それを大人の論理で仮説を立て検証していくという発想で、事業の構想をまとめていくのが企業家の物の考え方、思想の特徴と言えると思います。

▲上へ戻る
PREV NEXT