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シンポジウムレポート1
パネル・ディスカッション

 
「オーラル・ヒストリー」のメリットとデメリット

宮本

オーラル・ヒストリーで何ができるのか、他の文献研究と何が違うのか、また、そのメリットとデメリットについてお聞かせください。

松島

オーラル・ヒストリーは、例えれば相撲の立ち合いの様なもので、相手がしゃべりたいなという気持ちと、こちらが聞きたいなという気持ち、その気持ちの高まりが合った時にオーラル・ヒストリーはうまくいくと思われます。つまり何を問うかということと、オーラルという手法が合うというのが最大のポイントと思います。

尾高

企業家が重要な決断をした理由等は文書に残っていないことが多く、オーラル・ヒストリーで初めてわかる事もあります。特に情報公開法の関係で役所は文書を残す事が少なくなり、企業でも資料保存の為の費用がかかるため資料を残さない傾向があるので、オーラル・ヒストリーをする必要性を感じます。一番の欠点としては証明や検証が難しい事です。
私が、オーラル・ヒストリーをする際に気をつけていることは、自由に話して頂ける雰囲気を作るという事と、多少は相手の方に関する知識は必要だと思います。相手と議論するというよりも、相手から話を引き出す事を大事にするのがいいと思っています。

 
「企業家の育て方と今後の企業のあり方」

宮本

いろいろな企業家と会ってこられた中で、企業家をどのように育てていけばよいか、また、今後の企業はどのようにあるべきだとお考えになりますか?

角田

世の中を変えて行くために企業家の役割は重要であり、その企業家が育つ環境をつくる事を考えていかなければいけないと思います。例えば、京都、浜松、広島県東部から岡山県西部が、昔から企業家がよく出てくる地域と言われています。伝統的な産業や強い地域産業が存在するところです。また、地域の企業や産業の主流部分(中枢)ではなく傍流部分(周辺あるいは辺境)から企業家が出現することが多いです。
つまり中枢部と辺境の相互作用の中である種の遠心力と求心力みたいなものが働く。中枢部のコアが強いほど、辺境で企業家が輩出する。この中枢と周辺の相互作用をどうやって作っていくかが、企業家を育てていくのに非常に重要と考えています。

文箭

織田信長の研究家の先生が、彼が成功したのは「先見力と猜疑心」だと語っています。私達は普通猜疑心を持ってはいけないという教育を受けてきていますが、これからビジネスが国際化してくると、猜疑心が非常に大事になってきます。
今、企業の運営は「個人も大事、しかし組織も大事」という形ですが、私は「個人が主役」の時代が到来して「職場は一舞台に過ぎない」という時代になると思います。
私がいい意味で悪い人しか残らないというのは、人の良い人は見方が甘くリスク・マネジメントが出来ないからで、2代目3代目が難しいのは、苦しいことを知らないからリスク・マネジメントに弱いことにあると思います。
人を信じる事は大切だけれども、一方で疑いも持たないと、世界はシビアですから。企業にとってリスク・マネジメントはとても大事な時代になると思っています。

   
 
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